行方不明者の退職規定など

  小職は、70歳雇用推進プランナーとしての企業訪問時、就業規則の定年条項を確認するついでに、了解を得て退職事由と、解雇事由の条項に目を通し、「会社に連絡がなく会社も所在を知らないとき」の退職規定、「反社会的勢力と判明したとき」の解雇規定がない場合、その挿入をアドバイスするようにしています。

 

 

  先日も、本体だけで数千人規模の会社の労務担当者にアドバイスしたところ、さすがに自社の就業規則に精通されており、前者については「無断欠勤2週間の場合の解雇」となり、後者については「懲戒規定該当解雇」となると即答されました。が、果たしてどうでしょう。

 

  解雇の場合、「告知」行為が必要となります。その残日数に応じた予告手当の支払も要します。しかし、告知対象者の行方が知れないと予告できません。退職とする旨の規定がなければ「公示送達」による解雇となり、簡易裁判所を通じての手続きの煩雑さは相当なものとなるようです。

 

 

  また、「反社」判明が、即懲戒対象となるかも疑問です。「反社お断り」は法人間の契約だけではなく個人との契約でも同じでしょう。入社時にとどまらず、入社後の反社との関係化も排除する意思を明示するために必要な規定と考えています。業務中の素行や業務遂行状況に特段の問題がなかった場合、裁判例によれば、懲戒処分はできず、解雇も無効と判断される可能性が高いようです。規定していても、即解雇とできるか難しいところですが、会社の意志を示し、解雇には応じられないとされても、退職勧奨などの措置が取りやすくなるのではないでしょうか。皆様の企業の就業規則では、どうなっていますか。