テレワークからオフィス復帰へ

 コロナウイルスの蔓延で急速に拡大したテレワークですが、2022年にテスラ、アップル、ディズニー、グーグルなどの企業がテレワークの撤廃や縮小を決定しました。2023年には、テレワークの象徴ともなったZoomが、全従業員に対してテレワークの大幅縮小を通知しましたが、「オンラインでは協業が難しく、イノベーションの妨げになる」というのがその理由だそうです。今年9月のアマゾンの全世界の従業員に対するテレワークの全面撤廃の発表は、最近のオフィス復帰(RTO : Return to Office)の流れに決定的な影響を与えているとされます。日本の企業では、ホンダが2022年4月からすべての部署で対面での働き方を重視する方針に変更し、楽天もテレワークを縮小して、週4日出社にしたとのことです。皆様方の企業ではいかがでしょうか。

リクルートワークス研究所のレポートによると、フランスでの調査で、約1300人の経営者の62%が、「2026年までにテレワークが段階的に廃止され、週5日の完全オフィス勤務が再び標準になる」と予測しているとのことです。「テレワークが生産性やチームの協力に悪影響を与え、マネジャーが従業員の業務効率やパフォーマンスを確認しづらいと感じている。特に、イノベーションには対面での連携が重要であり、テレワークによる支障が顕著に見られる。また、企業文化の維持や従業員同士の直接的なコミュニケーションの不足が、企業の一体感を弱めると考えられている。さらに、リモート環境では新入社員の教育やキャリア開発が不十分になりがちだという意見もある。」とのことです。

とはいえ、日本と同じく、フランスでも、コロナ禍をきっかけにテレワークが普及し、郊外や地方に引っ越してた人、テレワークのメリットを感じている人も多く、突然「明日からオフィスに戻れ」と言われても、戸惑いがあり、退職を選ぶ人が出てくることも考えられます。また、フランスでは、テレワークが「社会的既得権」として認識され、大手ゲーム開発企業では経営側からのテレワークの大幅縮小提案に、大規模なストライキも発生しているとのことです。一旦導入した制度を廃止・縮小する場合、導入時よりも検討すべき点は増します。難しいものですね。