オンボーディング

 東京商工リサーチによると雇用流動化は加速気味で、昨年の希望退職対象数は1万人を超えた由。年明けからも大手生命保険会社で1,000名規模、また、輸送機器メーカーでは数千人のリストラが報じられました。終身雇用の時代は終わりつつあるようで、自分自身のキャリアは自ら管理しなければならない時代に移行しつつあるようです。

 転職が当たり前の時代、だからこそ、社員を「組織になじませる力」(オンボーディング)が必要です。それがなければ人材は流失し、労働力が枯渇し、会社の培った知識や技能の伝承も不可能となります。人事総務を担当される皆様の役割はますます重要です。

 オンボーディングとは、新しく採用された個人を同じ船(会社)の乗組員としてなじませ、一人前にしていくプロセスのことです。その要素としては、①情報を与えるインフォーム行動、②迎え入れるウェルカム行動、③導くガイド行動に分けられます。

 インフォーム行動は、コミュニケーション(特に上司との対話が重要)、リソースの提供仕事に必要な道具や援助の提供)、トレーニング(オリエンテーションやキャリア開発プログラムなどの研修)で構成されます。

 ウェルカム行動(新入社員の歓迎、同僚との顔合わせできる機会の提供など)では歓迎風土の社内での醸成が重要な施策となり、ガイド行動では個人的な指南役(メンターやバディ)の提供などです。

 企画したオンボーディング施策にトップや各部門の協力を得るための体制作りも人事総務部門の役割です。4月に新入社員を迎える企業も多いでしょう。ご参考まで。

 

 実は、上記は「人事院月報20251月号」に掲載された甲南大学の緒方教授の「オンボーディングの重要性」と題する寄稿論文の拙い要約です。同誌の存在は、インターネットの「経済レポート」>カテゴリ>雇用・人材・労働 から見つけました。週に1-2度眼を通しているサイトです。